lunatrium/fabula cella
管理人シュウによる小説置き場です。ちょいっと増えます。 記事の著作権は全て管理人に属しますため無断転載等は禁止です。


PROFILE
シュウ
  • Author:シュウ
  • 気まぐれに書き
    気まぐれに載せ。
    お気軽に感想等
    コメント欄にお願いします。
  • RSS
  • ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー FC2ブログ 専門学校


  • CALENDER
    10 | 2006/11 | 12
    S M T W T F S
    - - - 1 2 3 4
    5 6 7 8 9 10 11
    12 13 14 15 16 17 18
    19 20 21 22 23 24 25
    26 27 28 29 30 - -


    RECENT ENTRIES
  • キュア(06/20)
  • ぼやけたあこがれ(05/23)
  • エトランゼとデラシネ(03/09)
  • ルナティック・ジュヴナイル(03/09)
  • シトロン(02/20)


  • RECENT COMMENTS
  • 家出少女掲示板(01/08)
  • エッチ(01/06)
  • 熟女(01/04)
  • 家出少女(01/03)
  • エッチ(01/02)
  • 逆援助(01/01)
  • セフーレ(12/31)


  • RECENT TRACKBACKS


    ARCHIVES
  • 2008年06月 (1)
  • 2008年05月 (1)
  • 2008年03月 (2)
  • 2008年02月 (1)
  • 2007年12月 (1)
  • 2007年09月 (1)
  • 2007年08月 (2)
  • 2007年05月 (3)
  • 2007年04月 (1)
  • 2006年11月 (1)
  • 2006年09月 (3)
  • 2006年08月 (1)
  • 2006年06月 (1)
  • 2006年04月 (1)
  • 2006年03月 (1)
  • 2006年02月 (2)
  • 2006年01月 (1)
  • 2005年12月 (2)
  • 2005年11月 (1)
  • 2005年08月 (3)
  • 2005年07月 (2)
  • 2005年06月 (3)
  • 2005年05月 (4)


  • CATEGORY
  • グラップラーズ (2)
  • 未分類 (0)
  • 短編モノ (37)


  • LINKS
  • ルナトリウム/HOMEであり日記。
  • 詩書き場/どうぞいらっしゃいませ。


  • 暗がりの夢
    その夜、ぼくは平静を失っていた。生活の中にある瑣末な不安が鬱積し、自分の心内が軋み始めるような感覚が生まれ、眠気は生温くなり覚醒が続いた。
    布団に篭もっても一向に、睡眠に没することが出来なかった。ただ時間を過ごすだけで疲弊する昼の睡魔の姿は、闇の中では認知出来ない。本でも読もうかとも考えるが、電灯を点けるのが億劫で、寝返りを繰り返す。その寝返りという運動自体が覚醒に繋がり、ぼくは自らの体温が移った寝間着や寝具に嫌悪感を覚え、一度半身を起こした。
    布団の中で身もだえしたせいで外気が冷たく感じる。日当たりの良いこの部屋は、少し日中の熱を蓄えている。
    (きっと今日の昼、雲が多かったならもっと涼しかったのだろう)
    眼球は闇に浸かった部屋を映す。物は輪郭を残して消え失せたかのようだ。ぼくもあのように、闇に沈み込むのだと枕に頭を据え、目を瞑った。
    何十分もの「何も考えないように努める考え」への没頭で、漸くぼくは眠りを捉えられたようだった。
    わざと寝返りも堪え、思考の動きも抑えつけたせいだろうか。その時見た夢はとても活動的だった。
    夢の舞台は、幼稚園の時分によく遊んだ空き地だった。でこぼこした地面は球技には向かず、その頃のぼくたちは鬼ごっこなど単純な遊びに興じた。ぼくはそこで体を走らせている。周りを見ると色々な年頃の人間が走っている。幼稚園児や小学生――小学生と一口に言っても、随分ばらつきが見られる――、中学生、高校生と、成人する手前の人間が何人も走っている。視界の端は白く曖昧で、夢が常に備える「奥行き」を表していた。その先にあるものなど見えることはない、夢としての境界…現実ではないという穏やかな手がかり。
    視野という意識の世界を、光がぼやかしている。ぼくはその中をひた走ることで、足元の雑草を後ろに飛ばしている錯覚に陥る。自分と同じように走る人間をじっと見つめていると、彼らは皆ぼく自身であると気付いた。年齢だけを違えたぼくは群れを成して、一つの方向を定めて走っていく。どこに向かって走っているのだろう、そして視野の主体となっている自分は一体何歳の自分なのだろう、という二つの疑問が思考を占めた。
    ぼくが立ち止まると、周りの「ぼく」も足を止めた。筋肉に疲れは感じられないし苦しくもないが、呼吸は忙しいままだった。
    そのことを不思議に思った途端、息が落ち着いてくる、と感じた。ぼくはふと目を閉じた。夢の中は眩しく、実世界が闇に充ちているとは思えない。閉じた瞼で光を感じていると、視野は不完全な闇を映し出す。「ぼくたち」は皆同じように、光が混ざった闇を見ているのだと思うと、ぼくの意識はどの「ぼく」に属しているのか分からなくなった。
    それが、醒めた時の最も新しい記憶だった。その合間に別の夢を見たかもしれないが、記憶には無い。眩しさを感じる夢を見たせいで、起きた際の闇に順応しきれない。下半身に嫌な感触が纏わりついている。ぼくは生まれて初めて夢精していた。官能が全く無い夢を見て、一体何故?

    【2006/11/12 14:07】 短編モノ | TRACKBACK(-) | COMMENT(0) |